Q&A一覧

Q1 弱視の子どもが使う学習補助具にはどんな物がありますか?

 弱視のお子さんには、教室の座席を一番前にする、黒板の字は白や黄色の見やすい色で濃いめに書く、掲示物等を目線の低い位置に配置するなど、見やすさへの配慮が必要な場合があります。そういった配慮をした上でも見にくいときには、「単眼鏡」という遠用弱視レンズを使って遠くの物を拡大して見ることができます。また、細かい文字の本や地図など、顔を近づけて見ても、上手に読めない時には、「ルーペ」という近用弱視レンズを使って拡大して見たりできます。他にも、「拡大読書器」という、カメラで写した画像をモニターで写して、いろいろな大きさに拡大できる機器もあります。そういった学習補助具を使って、理科の観察等学習場面で活用したり、図鑑を見たりするなど、生活場面で活用したりできます。ただし、弱視レンズは倍率や機能も様々なため、お子さんの見え方に適した視覚補助具を購入する必要があります。

 

Q2 拡大教科書とはどんなものですか?

 通常の教科書の文字や図表等を子どもの見え方に合わせて拡大した教科書です。見やすい文字サイズや書体にしたり、レイアウトを変更したりして、いろいろ見やすくするための配慮がされています。拡大教科書は、教科書出版社が発行しているものとボランティア団体が制作しているものがあります。出版社発行教科書は、18ポイントから26ポイント(低学年は30ポイントまで)の文字サイズで、書体はゴシック体で制作されています。

 

Q3 「通級による指導」と「弱視学級」では、どんな支援が受けられるのでしょうか?

 視覚障害教育を受ける対象の子どもの実態は、「両眼の視力がおおむね0.3未満のもの、又は視力以外の視機能障害が高度のもののうち、拡大鏡等の使用によっても通常の文字、図形等の視覚による認識が不可能又は著しく困難な程度のもの」とあります。こういった子どもたちは、盲学校や、地域の小中学校で受けられる「弱視特別支援学級」という支援があります。
 「通級による指導」は、小中学校の通常の学級に在籍している児童生徒が受けられる支援で、平成28年度から試行的に実施しました。詳しくは「通級による指導」「弱視学級」を御覧下さい。

 

Q4 視覚に配慮した学習用具は、どんなものがありますか?

 ノートは、枠線を水色などのペンで引いて見やすくするとか、罫線2行分を1行として、補助線を引くなどして、書きやすいマスの大きさや行の太さにします。また、鉛筆やシャープペンシルの芯の太さも自分に合った物を選ぶとよいです。書きやすさと書いた後にきちんと読めることが大事です。また、補助線を引くのが大変な人には、弱視用として市販されているノートもあります。 小学校で使うことが多い文房具として、三角定規や30㎝定規、分度器やコンパスなどがあります。最近は市販の物でも、目盛りをなぞったり印を付けたりして、コンパスは鉛筆を挟む代わりにペンを挟んだりして、ちょっとした工夫で使い易くなることがあるので、いろいろ試してみると良いと思います。本校は、名古屋市港区にある「名古屋盲人情報文化センター」を紹介しています。そこでは、様々な視覚に配慮した学習用具が販売されていますので、ぜひ一度行ってみてください。

 

Q5 弱視の子どもが読みやすい本はありますか?

 弱視の人にも読みやすいように、文字の大きさや行間等を調整し、大きな活字で作られた「大活字本」という本があります。文字サイズも大きく、白黒反転やリング綴じの物などもあります。大手書店やネット通販で購入できますが、本によっては分冊になって、値段が割高になってしまいます。公共図書館でも貸し出ししているので、地域にある図書館に問い合わせてみても良いと思います。

 

Q6 弱視の子どもでも、一人で歩けるようになりますか?自転車に乗れますか?

 まずは一人で歩けるようになるために、小さい頃からさまざまな経験をさせる必要があります。障害によっては、天候や時間帯によって見え難さが違ってくる場合もあるので、注意が必要です。保護者と一緒に外出したときは、歩道と車道の境の特徴(段差や色の違い)や交差点では、横断歩道や信号機、曲がってくる車など、自分で見たり、保護者が情報を伝えたりしながら、周囲の情報をキャッチする意識を育てて下さい。歩道を走る自転車や障害物、側溝や段差、雨の日などの危険への対応方法なども経験と共に覚えていくことです。 自転車は、人がいない広場などで、、安全に十分配慮した場所で遊ぶ程度ならば良いと思いますが、移動手段として、自転車に乗るのは、危険なことの方が多いです。そのため、保護者の方と十分相談して、本人が納得できるような選択ができると良いと思います。

 

Q7 パソコンやタブレットを使えるようになりますか?

 パソコンやタブレットなどのIT機器はとても便利です。御家庭にあれば、小さい頃から使い慣れておくことが大切だと思います。パソコンは、電源の位置やキーボードの配列など、使えば使うほど覚えられると思います。キーボードやマウスポインターやアイコンなどを大きくしたり、拡大鏡の機能を使ったりして大きくできます。また、拡大ソフトやスクリーンリーダー等の専用ソフトを使って拡大したり、音声で読み上げたりすることもできます。 タブレット端末は持ち運べるので、様々な場面で使うことができます。カメラや動画機能を使って黒板の写真を撮ったり、実験の様子を動画で撮影したりして後でじっくり見るとことができます。また、電子書籍のアプリを活用して、自分にあった文字サイズや配色を選択でき、読みやすくなることで本を読む機会が増えます。詳しくはIT機器活用例を御覧下さい。 ただし、IT機器だけに頼るのではなく、単眼鏡やルーペなども使いこなせることも大切です。

 

Q8 視覚障害があるため、平仮名や漢字を書くのが苦手な子どもにどうやって教えたらよいですか?

 生まれつき見えにく子どもたちは、ひらがなや漢字などをくっきりはっきり見る経験が少ないことも多いです。御家庭のなかでも、お子さんの見えやすさを配慮した大きさや太さの文字はきっと少ないのではないかと思います。まずは、くっきり太い線で、手元でしっかりと見やすい大きさの文字を見るという経験を積むことが大切です。書く時は、鉛筆よりも濃く見えるペンを使うのも良いでしょう。ホワイトボードに書くと、間違えても楽に消せるので、積極的に書くようになるかもしれません。 漢字は、画数も増え、書き順やバランスもとても難しくなります。よく似た漢字を読み間違えたり、点や線の方向や長さが違ったり、くっつくところと離れるところを間違えたりすることがあります。たくさん書いて覚えるのではなく、正確さを意識して書くようににします。手本は書く場所のすぐ横に見えるようにして、手本を見ながら丁寧に書くようにするとよいでしょう。

 

Q9 視覚障害があるということが、周囲の人にはなかなか理解されにくいのですが、どうしたらよいでしょうか?

 例えば本を読んだり友達の顔を見たりするときに極端に顔を近づける様子や、話をしていても目が合わなかったり、すれ違っても挨拶をしなかったりする様子から、健常な子どもと違った行動を示す子どもがいます。また、単眼鏡を使って黒板を見ることや、外に出るときは、サングラスのような遮光眼鏡を掛けることなども、なぜそういう行動をするのか見ただけでは分らない場合が多いです。しかし、それにはちゃんとした理由があり、周囲の人たちに、とうしてそういった行動になるのか理解してもらえるようきちんと伝えることが必要です。他人と違うと感じると、人前で単眼鏡や遮光眼鏡を使いたがらなくなりがちです。小さい頃から、周りの大人が率先して周囲に伝え、周囲の人たちに分ってもらうことで、本人も安心すると思います。また、成長と共に自分から周囲の人に伝えられることも大切です。